「レンティーラ村 - 祈りの場所」
フィンランド東部カレリア地方のレンティーラ村に1812年に建てられた教会は、
斧とナイフの人の教会という意味のKirveskansan kirkkoという名前がつけられていた。
祈りの場所であるその建造物は、戦争中の1940年に侵略してきたソビエト軍に焼かれた、という。
戦後、新しい教会が別の場所に建て替えられたにも関わらず、
元の場所には祈念のモニュメントが残されていた。
フィンランドでの1年間の制作滞在期間中にたまたま立ち寄ったこの村にあった小さなモニュメントが、
帰国後も心の片隅に引っかかり続けた。
日本で神社を巡り、そこにある「ひもろぎ」や「いわくら」といった
神々が宿るだろうと思われたものを見つめ始めた時期だった。
世界情勢が揺らぐいま、ロシアとの国境沿いの人口174人の村を撮影対象とし、取材を続けている。
70年前に一度変えられてしまった境界線が、再び変えられないように思いながら再訪問の時を待っている。